こんにちは！
今週（6/23-6/28）にお届けした、アメリカヘルスケアデイリーを振り返ります。製薬から小売薬局、政策、食品、テックまで、激動の1週間でした。
📊 Pick Up
💊 製薬業界：明暗が分かれた1週間
大きな動き
Prothena社：アルツハイマー薬開発失敗で従業員63%削減を発表
米製薬大手：中国からの創薬分子ライセンシング加速（8,000万ドル規模）
Zealand Pharma：肥満治療薬で新データ発表、Novo/Lilly市場に参戦
Eli Lilly：英国でのアルツハイマー薬償還拒否に控訴予定
🏪 小売薬局：業界再編が本格化
閉鎖ラッシュ
CVS：2025年に270店舗閉鎖確認
Walgreens：3年で1,200店舗閉鎖計画
Rite Aid：破産後、さらに100店舗以上閉鎖＋1,000店舗売却
新戦略
CVS：薬局特化型小規模店舗を12カ所開設
🏥 医療政策：大きな政策転換
制度改革
下院：MedicaidとMedicare大幅削減法案可決（900万人が保険失う可能性）
Medicare：2025年薬剤費上限$2,000導入確定
MedPAC：医師報酬制度改革を勧告
🇺🇸 政治動向：MAHA政策の矛盾露呈
RFK Jr.の課題
トランプ政権のMAHA政策と実際の有毒化学物質対策削減に矛盾
保健機関大規模再編の議会説明を実施
代替医療重視への方針転換を推進
FDA食品添加物規制の大幅見直し検討
🍎 食品業界：GLP-1薬が変える消費行動
新トレンド
GLP-1薬の影響：食品メーカーが小ポーション・高タンパク商品開発加速
植物性タンパク：第3世代代替肉で市場回復
パーソナライゼーション：AI×遺伝子検査活用の個人向け栄養食品拡大
FDA：新しい栄養表示基準（健康スコア表示）を検討
💡 テクノロジー：医療AI元年の様相
革新的進展
AI診断：FDA承認ラッシュ、特に放射線・病理分野
デジタル治療薬：うつ病・不眠症向けで保険適用拡大
ウェアラブル：Apple Watch・Fitbitの血糖値モニタリング機能認定へ進展
バーチャル薬局：Amazon・CVSがAI服薬指導＋ドローン配送強化
今週のハイライト 🔍
🏪 小売薬局の「大淘汰時代」到来
今週最大のトピックは薬局業界の構造変化です。CVS（270店舗）、Walgreens（1,200店舗）、Rite Aid（破産＋大量売却）による大規模閉鎖は、従来のドラッグストアモデルの終焉を告げています。Amazon等のオンライン競争、Dollar Generalとの価格競争、そしてコロナ後の消費行動変化が重なり、業界全体が「ヘルスケア特化」への転換を余儀なくされています。
💊 製薬業界に見る「勝者と敗者」
Prothenaの63%人員削減は、バイオテック企業の厳しい現実を象徴しています。一方で、米国企業による中国創薬分子の積極調達は、グローバルな創薬エコシステムの新たな潮流を示しており、イノベーションの地政学的側面が浮き彫りになりました。
🍎 GLP-1薬が食品業界を根本から変革
今週の発見は、減量薬GLP-1の普及が食品業界戦略を劇的に変えていることです。「食べる量が減る」前提での商品開発は、食品業界にとって過去に例のないパラダイムシフトです。同時に、AI活用の個人向け栄養食品拡大と合わせ、「食品のパーソナライゼーション」が新たな成長領域として確立されつつあります。
🤖 医療AI：「便利ツール」から「医療標準」へ
今週のテクノロジー動向で特筆すべきは、医療AIが実験段階から実用段階へ移行していることです。FDA承認の加速、デジタル治療薬の保険適用拡大、ウェアラブルデバイスの医療機器認定進展は、AIが医療の「補助」から「中核」へ移行する転換点を示しています。
📅 来週の注目ポイント
RFK Jr.の食品添加物規制見直し詳細発表
CVS小規模店舗戦略の具体的展開
Medicare薬剤費上限導入の詳細ガイドライン
デジタル治療薬の新たな保険適用発表
ご意見、ご感想など、いつでもご連絡ください。
激動の1週間でした。来週もアメリカ保健業界の最前線をお届けします！
Ken Yamazaki