Vol.1 - 2025年6月22日号
こんにちは!
毎週日曜日にお届けする、アメリカの主要保健機関(FDA、CDC、NIH他)の最新動向メルマガです。今週も注目すべき動きがありました。
今週の主要ニュース
FDA(食品医薬品局)
6月18日:画期的なHIV予防薬を承認
Yeztugo(lenacapavir)を6ヶ月間効果が持続する初のHIV予防薬として承認
PrEP(暴露前予防投与)の新たな選択肢として期待される
6月18日:国家安全保障強化措置を発表
敵対国の研究所への米国人細胞輸出による遺伝子工学研究の新規臨床試験を停止
バイオセキュリティへの懸念に対応した措置
6月17日:新バウチャー制度を導入
「コミッショナーズ国家優先バウチャー」を創設
米国の国益を支援する企業への新たなインセンティブ制度
CDC(疾病予防管理センター)
6月18日:高齢者健康統計を発表
85歳以上成人の慢性疾患統計(2022-2023年)を公表
65歳以上成人の転倒による死亡統計(2023年)を発表
高齢化社会における重要な健康指標データを提供
6月24日予定:包括的健康調査結果の早期発表
2024年全国健康面接調査に基づく推計を公表予定
メンタルヘルス、喘息、障害、高血圧、歯科受診、医療アクセスを含む
組織再編の進行
HHS再編計画により感染症プログラムへの重点化が進行中
戦略的準備・対応管理局(ASPR)の吸収が計画されている
NIH(国立衛生研究所)
大規模人員削減の実施
トランプ政権による連邦保健機関再編の一環で人員削減を実施
研究体制への影響が懸念される中、政策転換が進行
今週のハイライト 🔍
💊 医療イノベーション vs 国家安全保障
今週最も注目すべきは、FDAが同日に発表した2つの対照的な動き。一方では6ヶ月効果が持続する革新的なHIV予防薬を承認し、医療アクセスの向上を図りながら、他方では外国への細胞輸出規制を強化するという、イノベーション促進と安全保障強化の両面を同時に推進する姿勢が鮮明になった。
📊 データが語る高齢化社会の現実
CDCが発表した高齢者統計は、アメリカの急速な高齢化とその健康課題を浮き彫りにしている。特に85歳以上人口の慢性疾患データと転倒死亡統計は、今後の公衆衛生政策立案において重要な基礎資料となる。6月24日に発表予定の包括的調査結果も合わせ、データドリブンな政策決定の基盤が整いつつある。
🏛️ 静かに進む組織再編
表面的なニュースの陰で、連邦保健機関の大規模な組織再編が着実に進行している。CDCの感染症重点化、ASPRの統合、そして全機関での人員削減は、アメリカの公衆衛生体制を根本から変える可能性がある。この変化が長期的にどのような影響をもたらすか、継続的な注視が必要だ。
読者の皆様の貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
また来週お会いしましょう!
Ken Yamazaki

